『透明骨格標本』
生物のたんぱく質を分解・透明化し、硬骨と軟骨を、特殊な染色液により赤青の二重に染色した標本、
またはその技術。
1991年に発表された河村功一・細谷和海らによる学術論文(※1)により現在の透明骨格標本の技術が確立された。
(※1)改良二重染色法による魚類透明骨格標本の作製,河村功一・細谷和海,Bull.Natl.Res.Inst Aquaculture,20,11-18(1991)
長所 … | 生き物の骨格を活かしつつ、筋肉を組織として残すことができるため、容易に生き物の骨格を観察することができる。 |
短所 … | 大型の生き物や深海魚など、脂質を多く含む生き物に対しては、脂質により透明化が困難になるため、あまり適していない。 |
利用 … | 分類学・解剖学・発生学などの研究分野での利用のほか、最近では、アートやインテリアへの利用も増えている。 |
とても堅苦しい説明になってしまったが、このように、透明骨格標本とは、これまでにない特徴をもつ気鋭の標本なのである。
では、そもそも標本とは何なのだろうか?
透明骨格標本の素晴らしさを知るためにも、標本の意味と歴史を温(たず)ねてみよう。